自由部門 祈り/エチオピア(ラリベラ岩窟教会外にて) 昭31卒 稲村 不二雄
エチオピアはアフリカの中で唯一他国の侵略を受けておらず、アフリカ諸国から自立性のある国として尊敬されている。主な宗教はキリスト教で、独自のエチオピア正教として根強く布教されている。エチオピア北西部、標高3,000mにあるラリベラ岩窟教会は12世紀に24年を費やし、岩をくり抜いて作られた世界でも珍しい教会で、1978年世界遺産第1号に選出された。
熱心な信者たちはエレサレムの聖地巡礼を目指しているが、イスラムに侵されたエレサレムを諦め、現在はラリベラを第2の聖地として目指し、1月7日のクリスマスには大勢の信者が集まる。
ラリベラの住人たちには熱心な信者が多く、普通の日でも白い衣装を着ている人が多数街を歩き、朝晩のお祈りは欠かさない。
12棟ある岩窟教会のなかでも一番中心の「聖救世主教会」の内部を見学しようと、ガイドさんの案内で急な階段と岩をくり抜いた狭いトンネルを抜けて地下に降りる。内部ではまだ祈祷が続き、ミサの声が外にも聞こえてくる。
わずかに漏れ聞こえてくるお祈りの声に合わせ、中に入れなかった女性の一人が岩の上で一生懸命我を忘れて祈りはじめた。非常に印象的な姿だった。
尚、ミサなどの行事が無いときには信者でなくても内部に入れるが土足厳禁。岩の床には何年前から使われていただろうかという絨毯が敷き詰められているが、これが雨季にはダニの温床となり、外部からの人は靴下の上にビニール袋を被せ、しっかり止めて歩かなければならない。
信者たちは裸足で平気で歩いている。