現役学生の「春季展」を訪問しました

 
 
今回の春季展にはOBである平2年卒金城さんと平10年卒戸澤さんと私(平3卒増田)で伺いました。
現役生からのリクエストでミニ合評会となり、楽しい時間を過ごさせていただきました。
 
 

記:平成2年(1990年)政経卒 金城正道

 

 私たちの時代もすでにそうだったのですが、「春期展」は新2年生の展示が中心となった“新人展”であり、新歓行事に連なるイベントです。名前こそ変われ(私たちの時代には確か「4月展」だった?)次代を生み出すこのようなイベントが、脈々と受け継がれきちんと開催されていることに、ある感動を覚えます。
今回、平成25年度「春期展」の出品は、12名、35点を数えます。2年生8名、3年生4名と、やはり新2年生に勢いがあるのが心強いところです。
 
全体の印象は、概ね昨今の学生写真の雰囲気でそろっていて(人物の写真が多いのは珍しく良い傾向ですが)、その意味では特にコメントはないのですが、現役の皆さんに私のような者からアドバイスを差し上げるとすると、以下のようなものになります。
 
1.技術的なことをモノしてください
撮影・加工・プリント・展示...を通じて、思い通りのものを思い通りに表現できるようにするための、“テクニック”というものがあります。これを身に付けてはじめて、自由な表現が可能になると私は思います。そしてそれは、私だけの意見ではなく、これらを見て共感したり評価したりしてくれる世の中の人々に共通の、スタンダードな軸であると思います。
もちろん皆さんは“日芸写真学科”の学生さんではないので、工芸的なレベルにまでそれを高めてゆく必要はないのですが、でも写真って、デジタルが入ってきてからは、かなり少ない労力である程度のところまではいきなり上手にできるはずです。方法が間違ってなければ、本当に速いと思います。みなさん若いし。おつむも優良だと思うし。もうちょっとだけがんばってもらうと、とてもすばらしいことになってくると思われます。
 
 
2.優良な写真(プリント)をいっぱい見る
では、技術的なレベルをどこまで追求すればよいのか。それは、審美眼に関わってきます。審美眼を鍛える、言い換えれば“目利き”になるには、やっぱり良いモノをたくさん見るのが効率的です。幸いにも、皆さんのキャンパスは都内にあります。東京は、世界でもまれな写真都市の一つです(他はニューヨークとかパリとか)。都内にはたくさんの写真ギャラリーがあります。そこでは、毎週毎週、気合いの入った写真が膨大に掛け変わり展示されています。プロ・アマ・男・女・老・若・個人・集団・有名・無名にかかわらず、単に写真だけ見てゆけば、すごい人のすごい写真がわかるようになってくるはずです。
 
 
3.自分の写真にケチをつけてみる
いわずもがなですが、自分の“目利き”ぶりを疑ってみることは、成長に不可欠なプロセスです。表現者は自己満足に陥りがちですが、常にそれと戦ってゆかなければなりません。ここでは“テクニック”の話をしています。ソーシャルなレベルにまでテクニックを引き上げるためは、自律的にアウフヘーベンを繰り返すことです。あるレベルにまで達することができれば、あとは本当に自由な世界があなたを待っています。
 
 
 
最後に。。。
時間的、空間的な壁がグローバルにものすごく低くなっているのが今の時代です。残る唯一最大で困難な壁が「言語の壁」です。でも、写真は言語に依存しません。写真を自由自在にできるようになることは、とても力になるツールを手に入れることになると思います。みなさんの前途を祝福したいと思います。(作品タイトル/右上から「JUMP!」「コロガレびーだま」「ハイキーの祝福」) 
 


 
 
記:平成10年(1998年)教育卒 戸澤昌道
 
 

会場の雰囲気に関しては悪くないと思いますが、もう少し工夫がほしいところです。
決められたフォーマットに従うのではなく、面白いアイデアを盛り込めると楽しさが出てくるのではないでしょうか。
 
 
                 
 (作品タイトル/左上から「親子」「おもはぬ人」「武者」) 

 
 

個々の作品についてですが、以上の3点は技術的に安心して見ていられるものでした。3つの作品それぞれがカラーが異なるように見えるので、まだ写真に対して試行錯誤しているのかな?とも思いますが、ここから自分らしい方向性を見出してほしいと思います。個人的には「武者」の作風は好きなのでこの世界観の写真群を見てみたいです。「おもわぬ人」のアプローチも興味をそそります。
 
アルバム展示が2作品ありましたが、その中の「キオクノソウシツ」は作品創作への意欲を感じ、また手間の掛け方に好感が持てました。写真自体もいい写真が多いのですが、玉石混交ではあり、もう少し取捨選択した方がいいいと思えます。例えば二枚目は違和感があり、その後のいい流れをじゃましているかな?また人物の登場のさせ方が難しいと感じました。