◎昭和38年卒の土生一俊さんが写真展を開かれます。
先輩の俳優・小沢昭一さんが昨年暮れに亡くなった。
独特の日本人的な心に響く話芸と、異彩を放つ存在感でかつては野坂昭如さん、永六輔さんとともに「中年御三家」と称され、舞台俳優でありながらラジオ、テレビ、映画などで大活躍していた。一時私は彼が所属する劇団の舞台写真を撮り続けていたが、かれの存在感に魅せられた大ファンでもあった。
30年前、昭和54年に「小沢昭一さん」という写真集を出したが、その時彼は「80歳になった小沢昭一を撮ろう」と提案してくれた。即刻私は「撮りましょう」と約束した。
30年は長かった。1998年に小沢さんは前立腺がんを発病し、治療の合間を縫って仕事を続けていたが、昨年の暮れ83歳で逝ってしまった。その間私も、身体に不自由さが残る2度の病に襲われた。
約束は幻となった。
今回の写真展は、そのレクイエムである。(平成25年9月 土生一俊)