◎平尾 敦のN.Y.日記 #3(2014.01)
投稿が始まってから早くも3ヶ月も経ってしまいました。当初の目的であっった学校生活に関して今日は書かせていただきます。
その前に、そもそもInternational Center of Photography(国際写真センター、通称ICP)はどのような施設なのか簡単に説明させていただきます。
【ICP】
1974年、コーネル・キャパにより設立。
1950年代、コーネル・キャパの周りで写真家の死(ロバート・キャパ…1954年、ワーナー・ビショップ…1954年、デビッド・シーモア…1956年)が相次いだことから、彼らの写真作品の保存を目的に1966年、the International Found for Concerned Photographyを設立、これがICPの前身となりました。
現在では継続的に重要な展示を行うと同時に、3000人を超える写真家の作品を所蔵しています。また教育施設も併設し、週末限りのワークショップから1年間の認証プログラム、修士課程まで用意されています。
私が参加しているのはこのうち1年間の認証プログラム(One-Year Certification Program)です。このプログラムにも私の参加するドキュメンタリー・報道写真専攻(Documentary and Photojournalism)と一般写真専攻(General Study of Photography)があります。
学生はそれぞれ約40名ずつ、計80名ほどで、11カ国から集まってきています。アメリカ人は全体の約半数で、留学生は南米出身とイタリア人が多い印象です。アジア系は全員で10名ほどです。そのうち一番多いのは台湾人で、幸か不幸か日本人は私1人しかいません。
学生の背景も様々で、写真家としてのステップアップを目的とする者、高校・大学を卒業してそのまま入学した者、他の職業(弁護士や銀行員)を辞めて写真の世界に飛び込んだ者、年齢も18歳から50代まで様々な学生がいます。
【New York and me】
プログラムのスケジュールとしては、9月から12月まで写真の基礎講座をみっちりとこなし、年明けから半年かけて卒業制作に取り組むというのがおおまかな流れです。
我々フォトドキュメンタリー写真専攻の学生たちは現在、写真史、クリップオンストロボを使ったライティング講座、デジタル写真講座などを受講しています。
加えて、課題にそった写真を撮影し、全員でセレクトや議論を行う講義もあります。課題は1週間に「地下鉄の中で400枚撮影してくること」「移民3人を100枚ずつ撮影」など、なかなかやり応えのある内容です。
それも複数の課題が同時に出ることも日常茶飯事です。結果、生活リズムは「寝る」か「授業」か「撮影」かということになります。
講師陣のほとんどは50代から60代が中心ですが、ほぼ全員が現役の写真家です。
驚くのは、彼ら自身が常に新しいことに挑戦しているということです。写真のみならずマルチメディア作品も制作し、インターネットを使った最も効果的な作品発表の方法を模索し続けています。
「何で撮ろうが、結局はデジタルをうまく使わないと絶対に生き残れない」という強いメッセージを日々感じます。
【New York and me】
こうしてこの数ヶ月を思い返すと、推薦状を書いていただいた鈴木龍一郎さんの言葉を思い出します。
「今いくつ? 25歳? いちばんいいね。あんまり若いとなんだか分からないまま終わってしまうから。」
日々得られる情報が多い分、時間が過ぎていくのも早く感じられ、周りの話を聞いているだけでは1年なんてすぐに終ってしまうのだろうと思います。必要な情報を意識して聞くことが出来るのは、自分なりに試行錯誤した時間があったからなのだと実感します。
1年後に撮った作品がどのようなものになっているか、自分でも楽しみです。
★二枚目と三枚目の写真は「世界報道写真コンテスト大賞受賞写真家Frank Fournier氏の
ワークショップ課題、"New York and me"より」
その他の写真は以下のURLでご覧いただけます。