現役生「早稲田祭写真展」合評会報告です。

11/2、3と早稲田祭にて開催した「早稲田祭展」は出展人数62名、作品数119点と質量ともに見応えのある写真展でした。2日間での来場者は879人、作品投票は3234票だそうです。今回は現役のころから知っている山村くんもOBとして合評会に参加してくれました。

今回はプロジェクターを補助的に使った合評会でしたが、プリントを見ながら部員とOBが入り交じっての意見交換になりました。

「gate man」 :東京ゲートブリッジと釣り人のカットですが、もう少し高い位置から撮れたらもっと良くなったのでは。全体的に青の色調の中に輝く橋の照明が効果的です。
「bridge of love」 :上の作品と同じ撮影者。「早稲田祭展」の一般投票では4位に入ったとのこと。本人はなぜだろうと首をかしげていました。

先ず「loveじゃないね」との声。直立して向かい合った男女の姿態についてはいろいろ考えがあっても良いのでしょう。仲間との旅先で偶然この橋が目に入って、友人二人に橋の上に立ってもらったそうです。欲を言えば、もう少し橋が画面の上部に来るようにフレーミングしたカットも見てみたかった。雲のグラディエーションが素晴らしい。

「海上渡御」 :鎌倉・材木座海岸でのお祭り風景。水平線とカメラ位置についての指摘があった。この祭りの魅力が伝わってこないのは、撮影者の祭りに対する理解・興味が足りないのか。担ぎ手の表情にも留意が必要。写真初心者とのことだが、思いきった写真を心を込めて撮って欲しい。

「Mom…」 :ママは荷物をいくつも持って大変。子どもの表情がもう少し見えたら良かった。雑然とした街の感じを残したいのだろうが、背景がうるさく感じる。特に子どもの顔の背景には気をつけて欲しかった。「スナップショットはワイドで寄って撮るのが普通だが、50〜85mmレンズを使って撮っている」とのこと。
「蛇行する川」 :「Mom…」と同じ撮影者。釧路生まれの小説家、桜木紫乃さんの小説を読んで、浮かんだイメージを北海道・根釧原野の風景写真をベースに組んでみたそうだが、正直言って難解。一緒に展示していたフォトブックにしたほうが作者の感情が伝わっていてよかったです。
「誓い」 :実際のプリントはもう少し明るく、リングがキラッと光っている。浜辺での婚礼アルバム撮影風景に偶然出会って、手前の水面に映った画像を意識しながら撮ったとのこと。撮影業者は恐らくストロボを入れて二人の表情が見えるように撮ったことと思うが、この写真の方が良い出来になった。
「清爽」 :パリのセーヌ川。良く写っているが旅行先での思い出アルバムのレベル。前回の7月展でパリでの力作をだしてしまい今回はこちらになったそうです。人物写真にも興味があるそうなので次回作に期待したいです。

「小樽 微睡む町」 :観光地の運河沿いとは違う旧い街並みを、店々の開店前の時間帯に撮った。同じようなカットが並んでいるが、絞り込む作業が必要ではないかな。28ミリ一本で撮影したそうで組写真としての変化や抑揚が欲しいところ。

「杜氏」 :雑誌のグラビアページとしてページを繰って見るとしっくりくる作品。手だれのSくんにとっては苦もなく作れた写真と思うが、この先の作品がそろそろ見てみたい。出身地の熊本に拘って、米焼酎の杜氏を撮ってくれたのは嬉しい。

今回も多くの学生が参加してOBと合評会ができました。

毎回、「早稲田祭展」出品作品の人気投票をしていますが、WPS部員と一般来場者では評価にかなりの違いが出ます。一般来場者はとにかくきれいな風景やエンタメ傾向の強い作品に目が行くようです。部員は人間臭い写真を好むといったところでしょうか。会話のなかで早稲田祭にふさわしい写真を出したいといった声を聞きましたが「自分の頃はそんなこと考えなかったなー」と思いました。

昭和46年卒石崎幸治さんが参加の「ヒメシャラの会 五人展」が開催されます。

お変わりなくお過ごしのことと思います。さて、「ヒメシャラの会 五人展」の開催まで1カ月を切りました。私はイラスト、写真と焼き物の3つの分野の作品を展示します。それぞれの分野で今までにない独創的な要素がある作品だと自負しています。写真では添付のような作品(展示作品と同一ではない)を展示しますので、ご高覧賜りたく、また忌憚ないご意見をお聞かせ下さるようお願いします。11月30日(土)と12月1日(日)の午後1時から5時までは会場にいます。その他の日でも事前にご連絡をいただければ会場に駆けつけます。昭和46年卒石崎幸治

「写真の一部をイラストにして撮影現場に戻って手に持って撮影した。時間と風景のズレが見る人を惑わす効果がある」

 

「今年の9月に考え付いた新しい撮り方で風景の中にガラス玉が浮かんでいるように見える。画像処理で合成しているのでなく、カメラの多重露光機能を使った実写である。撮影方法を謎玉レンズ、シャボン玉レンズなどの候補があったが、瑠璃玉レンズと命名した」

自分が生きている今の時代でしか撮れない世界があるはずです。何を撮影すれば時代を象徴する写真になるのかという思考力と見る人に訴える表現力が求められると思います。今までにない発想で独自の世界を創り出したいと願っています。