柏木久育のNY便り-1 161030

◎毎年ニューヨークで年越しをしている昭和47年卒の柏木久育さんから地下鉄の写真が届きました。
 
『一日で人生が変わってもおかしくない、ニューヨークは今でもそんな不思議な街だ』というテレンス・ライリー(MoMA 建築デザイン部長)という言葉もありますが、現実はそれほど劇的ではありません。ごくありきたりの普通の巨大な近代都市で、あなたの財布の中身次第で、あらゆる消費が可能なようにみえる観光都市です。どんなに肯定的に世界一の最先端と思うのも、否定的に世界の終末を象徴しているととるのも自由です。
 
 NYCは最もカメラマンに愛された都市です。ハイン、ウィージー、スティーグリッツ、エヴァンス・・・。あらゆる写真がすでに、撮り尽くされているのかもしれません。いまさらカメラをもったオッサンが、いったい何を撮ろうとしているのでしょう。
 
SUBWAYの写真も古くはエヴァンス、つづいダヴィッドソンと多彩な表現があります。しかしそれらは、あまりにもドラマチックで、深刻で、真面目すぎるといっては失礼ですが、もっと淡々とした日常としてのSUAWAYがあります。一日数百万人が利用し、よく笑い、よく食べ、よくしゃべっている、ごくふつうの風景もあってもいいのではと、蛇足ながら、付け加えてみました。それでは、また!

 

WPS「新人展」に行ってきました  昭和50年卒・湯川登紀雄+

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◎早稲田大学写真部新人展を訪れて
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         昭和50年卒・湯川登紀雄
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 去る9月27日、菊池・白谷両先輩とともに「早稲田大学写真部新人展」を訪問しました。
 新入部員の展覧会ということもあるのでしょうが、奇をてらわない素直な作品の数々が眼に入ります。しかも、風景写真や人物写真はいうに及ばず、心象写真、鉄道や自動車など乗り物写真、植物・昆虫写真、動物写真……。バラエティあふれる作品を目にし、感動すら覚えます。
 
 思い起こせば私が入部した1970年代といえば、当時の売れっ子写真家・森山大道氏を筆頭とする「ブレ・ボケ写真」の全盛期。我が写真部も、いわゆるコンテンポラリー写真以外は写真ではないという風潮です。ミーティング(批評会のようなもの)に「きれいな風景写真」などを持ち込もうものならば、その場で破かれゴミ箱行きになりかねません。
 
 そのようななかで私たち新入部員も皆、見よう見まねで、街へ繰り出してはスローシャッターに設定しファインダーものぞかず、わけもわからずユサユサとカメラを揺すって手当たりしだいにスナップを撮りまくったものです。
 ピンぼけで手ぶれの甚だしく、自分でも何をどんなつもりで撮ったのかわからないプリントを先輩諸氏に見せると、
「うん、このブレ具合がよいねえ」
「もう少しぼかすともっといいかも」
 などなどの批評。いったいなんのアドバイスなんだと、頭のなかはクエッションマークだらけでした。森山大道氏の真価がわかるのは、ずっとずっと後年のことだったのです。
 
 それに比して今回目にした新人諸氏の作品の、なんと自由なことか。伸び伸びと撮っていてうらやましい限り。これからも、自分の思うように、自由に撮り続けてほしいと思ってやみません。
 
 在廊していた部員4名の作品を、ご本人と一問一答しながら鑑賞しました。奇しくも四者四様のジャンルの作品が並び、時代はうつろいゆくのだなあと興味はいっそう深まりました。同時に、新人諸氏の一生懸命な姿に刺激も受けました。
 私も、もっともっと撮らなくては。負けませんよ、彼らには……。
 新人の皆さん、どうもありがとう。
 
新人と旧人。一目瞭然?
「どこまでも」 
度々通った世田谷線の踏み切り。ここを通る度に気になっていた佇まい。ある日のこと、素敵な空と雲があった。勿論、撮った。
絶妙な補正とも言えるし、技術的な精進が待たれる部分もある。夢か現かといったところだろうか。
今の若い人には珍しくカチッした写真を見て、おじさんたちは安堵した。
 
「人と鉄道」
高松、台湾、江ノ島などなど。江ノ島では祭りが始まると電車を止めるのでリハの時を狙ったとのこと。
「テッチャンってのは何が面白いの?」とは鉄道写真に無関心なおじさんKの質問。
「彼女に引かれるので、引かれない写真を撮るのがトレンド」とはテッチャンのおじさんY。
件のおじさんYはずっと昔からテッチャンで「昔は鉄道撮る人はいなかったしばかにされるから、他の人には言えなくて
大学時代も封印していた。近年ブームが来るちょっと前にカミングアウトした」とのことだった。
パイオニアテッチャンの苦難の時代など知るよしもない新人は
「小さい時から撮っていて、普通に編成写真等撮っていたが飽きてきてこんなのを撮るようになった。
鉄道写真コンテストに応募しても形式的なヤツは入賞しないし」とのことだった。
 
(タイトル無し)
「空き教室に入ってくる光が柔らかくてすてきだったので友達を配して撮った」とのこと。
無機質で色のない空間だったので、撮る時カメラのWBをいろいろ調整したそうだ。
おじさんSは学生時代に撮った似たような写真を思いだしていた。
学生会館の机の上に突っ伏した学生の写真だった。傍らにはヘルメットが転がっていた。壁面は赤やら黒やらの檄文で埋められていた。
机は傷だらけだった。床には印刷物が撒き散らかされていた。光は薄暗い蛍光灯だった。
おじさんたちは教室のきれいさ、清潔さに瞠目した。
そして大学の変化について少し教えてもらった。理工が三つに分かれたこと、昔の二文が文化構想学部になったことなどなど。
 
「夏の火」
前の(タイトル無し)の作者の作品。この写真には魅力的なタイトルがつけられていた。
「青い夕方」の感じを出したかったそうだが、色味に対する感覚が良い。
「大学には行ってガチで写真をやろう」と思ってNIKONのD3200を買ったそうだ。
古民家を借りてやった写真部の撮影会で「見つけた」カット。
 
「にちようび」
「日曜日で、朝起きて、日中楽しんで、明日は月曜日だ(涙)、みたいな」とは撮影者。
初々しいな??!!講評には困るけど。
「明日は月曜日だ(涙)」といっても妙に幸せそう!!
 
「無題(2)」
本格的な写真だから却って異彩を放っているように見えた作品。楽しめました。もっとのめり込んで楽しませてください。
 
WPS(早稲田大学写真部)の日常の活動について木村幹事長から教えていただいたので掲載します。

 
   班活について
(活動は班ごとの活動が中心で、授業の都合で空き時間の都合で各班に所属するそうです)
 
今回、写真部では月曜日から金曜日まで各曜日の方針を決めて班活を行っております。
 
 

・月曜 / ブツ撮りを上手くなろう

 

・火曜 / 写真をたくさん見てみよう

 

・水曜 / 初心者向け&少しマニアックに

 

・木曜 / 縛りを設けながら撮影しよう
 

・金曜 / ポートレートに強くなろう
 
月曜日から水曜日まではやや初心者向けの班活であり、木曜日、金曜日は発展的な内容となっております。
また、今回は昨年度が撮影会中心であったため、前期は座学を多く取り込んだ内容となっております。
 
今期の班活で特に特徴的だったのは木曜班だったと思います。日頃、カメラを使って撮影をする際に、意識をして制約を設けることは中々ありませんし、制限がある中でどのように撮影すれば良いか考える良い機会につながったのではないかと思います。
また金曜班においてもモデルを招聘し、撮影を行うなど最近まで積極的にポートレートを撮る習慣が写真部にはなかった中で、このような新しい流れを生み出したことは非常に良いことですし、班長の力が大いに発揮された班活であったと思います。
 
他の曜日についても班長の頑張りが随所に見られ、自分としても非常に頼もしいと思いました。
 
また前期に引き続き、後期についてもある程度方針を決めて行う予定です。
 
今後も現役写真部員の活動を見守っていただければありがたいと存じております。
 
 ◎『縛り撮影』の狙い

2016 年の前期木曜班では、撮影時に制限をかけた『縛り撮影』を行いました。 これは多少の不自由を前提とすることで、近年のオート機能の進化とともに機材に任せが ちな判断、思考、工夫を自ら行って欲しいとの思いからです。 また、この度参加して頂いた部員には、今後制限のない自由な撮影環境でもこの度の班活 で得た創意工夫を生かしていただけることを期待しています。

(木曜班班長 岩下究太郎)

(スローシャッター縛り: 足と東京タワーの) 
camera:D700 lens:Ai-S 28mm/2.8  f 値: 11  ss:1 秒  iso: 3200 

(モノクロ縛り: 階段)

 camera:D700  lens:24-85mm  f3.5-4.5  f 値: 4.5  ss: 1/50 秒 iso: 800 (※階段下からストロボ発光)

(iso 縛り-最高感度: 傘+道)

 camera:Nikon D700  lens:28mm f2.8  f 値: 2.8 ss: 1/500 秒  iso: 25600

 

昭和46年卒の石崎幸治さんの写真展示

 


●写真展示のお知らせ 

 昨年は植物のツルに付いた水滴に花が映っている写真を撮りました。いろいろな写真コンテストに応募したところ、全部で6つの賞を頂きました。全く異なるコンテストでそれぞれの審査委員が、私の写真を評価して下さったことが大変嬉しかったです。

 今年は水滴が水に落ちて跳ね上がった瞬間を撮影しています。コーヒーなどの液体が跳ね上がる画像はときどき見掛けますが、跳ね上がった水滴の中に花が映り込んでいる写真を私は今まで見たことはありません。ひょっとして世界初かも?

 水滴が跳ね上がった瞬間を撮影するのも難しいですが、表面張力で球になった水滴の中に映った花にピントを合わせるのはもっと難しかった。カメラの高速連射機能を使うなどの試行錯誤を経て、跳ね上がった水滴を撮影する装置を自作しました。

 写真公募企画展「倉敷フォトミュラルf 」というコンテストに応募したところ先日、作品選出通知書が届きました。写真は、2016年10月21日(金)から11月16日(水)の間、倉敷駅前アーケードに大型布(大きさ不明)にプリントして展示されるそうです。会期中に岡山県倉敷市に行かれることがあれば、ご覧下さるようお願いします。

他にもあります。以下をご参照ください。 

●「第42回稲城市芸術祭」 出品のお知らせ

期間 20161021日(金)—23日(日)

場所 稲城市総合体育館 メインアリーナ

時間 午前930分?午後430

詳細は 稲城市ホームページ

 I(あい)のまち 稲城市民祭 で検索して下さい

問い合わせ先 稲城市役所 生涯学習課

電話 042-378-2111 内線733

 ●「第20回総合写真展」 出品のお知らせ

期間 2016年12月6日(火)—11日(日)
場所 東京都美術館(東京・上野)
詳細は 第20回総合写真展で検索
問い合わせ先 国際文化カレッジ 写真展事務局
電話 03(3360)1224

  

石崎幸治(いしざき こうじ)
ブログ http://ameblo.jp/shinpenzakki/ 
 

昭和42年卒の勝山泰佑さんが写真展を開かれます

 

◎昭和42年卒の勝山泰佑さんが「JCIIフォトサロン」で写真展『異議申し立て』を開催されます。

 9月11日(日)/9月21日(水) 両日ともに14時からギャラリートークがありますので

 お誘い合わせの上お出かけください。

現役七月展に行ってきました。宇野敏雄(昭和46年卒)+

遅くなりましたが現役七月展にOB3名で行ってきた報告です。

今回もミニ合評会となり数十人の学生と出品作品の前で話すこととなりました。

今まで訪れた七月展で最大の出品点数で中には2段で展示しているものもありました。

それぞれの学生が表現したい気持ちがありながら、それを写真にするための技術が少し足りなかったり鑑賞者に対して説明不足だったりといった印象を受けました。

OBの宇野さんからの総評は後日掲載します。

増田 智(平3卒)

   盛夏の候、本格的な夏が到来する季節となりました。本日は早稲田大学写真部「七月展」にお越し頂き誠にありがとうございます。本展示は毎年この時期に開催しているものです。今年から入部した勢いある新人も多く出展している賑やかな展示となっております。また、前年度から活動している部員も試行錯誤を繰り返しながら、それぞれ個性のある作品づくりに努めてまいりました。どの写真も新人を含めた部員が磨き上げてきた渾身の作品です。本日はごゆっくりとお楽しみください。 早稲田大学写真部員一同

 

「飛翔」                                       「止」

流し撮りの練習のために競艇場にいって撮影したそうです。「飛翔」はまさに練習の成果そのものですが、「止」は帰宅して画像を整理していたら見つけた1枚、偶然とはいえ立派な作品となっています。予期せぬ瞬間を切り取ったまさに写真の妙ですね。

「おわりの夏の、はじまり」

写真をはじめてまもないそうですが初々しさを感じつつも絵作りができています。ただおもしろいタイトルですが、写真との間に溝がある気はします。撮影者が思った気持ちを伝えるにはたくさん写真を撮って試行錯誤するしかないのでぜひ続けて欲しいです。

「Those days with nobody 」                              「Those days with somebody」

同じ場所で冬に撮影して、夏に撮影して完成した作品だそうです。動画から切り出した1枚と行った印象を受けるのは写真としては説明的すぎるからでしょうか。話を訊くと撮影者の思いが溢れてきてそれが写真にもう少し出るとよいかと思います。でも写真の武器である時間の経過を活かしたおもしろい表現なので次回作も楽しみにしています。

「Waiting」     

何気ないものを作品としてうまく撮影していますがどこか絵画的であります。カーテンがブレていたりといった写真ならではのよさがあるとよかったですね。                                                    

「Look Up」

この作品は被写体にきちんと正対してモノクロで表現したことで成功しています。撮影者の冷静な視点が伝わってきます。

「老街」

どこか幻想的な海外の旧市街の風景、左下の二人の人物が効果的に使われていますね。右下の明るい部分がなければ鑑賞者の目はもっと作品の世界に引き込まれたでしょう。

「雑」

写真部で唯一アナログモノクロプリントをしているTくんの作品です。教えてくれる先輩がいない中で独学でどんどん上手くなっています。暗室作業のおもしろさは受け継いでほしいですがデジタル化の波にのまれ厳しいようです。

「好きなものは毎日」           「密やかな想ひ」             「danse joyeuse!!」

街なかでカメラを振り回してスナップすることが難しい世の中ですのでこういった作品が会場にあるとほっとします。

 

 

昭和41年卒・鈴木龍一郎さんとCAPA(改訂版)

 ◎昭和41年卒の鈴木龍一郎さんがカメラ雑誌『CAPA』(Gakken)7月号に登場されています。

 鈴木さんの早稲田大学写真部在籍中のドラマチックな物語が掲載されており、『VIVO』世代

には懐かしい早逝された吉村伸哉さんの名前などにも出会えます。

ここにはその一部をアップします。是非本をお買い求めの上ご覧ください。(*完全版掲載9/22)