今年ようやく早稲田祭が11/5(土)、6(日)の2日間開催されました。写真展には二日で2000以上の来場者があったそうです。
今年は80点以上の出品があり、コロナ前の100点に戻りつつありました。
そして13日には合評会を行いました。OBからは菊池さんと塩澤さんに同行していただきました。
東北旅行で出会った光景。光と石仏に魅せられて撮影したそうです。ディテールの再現を大切に表現したかったそうです。そういわれてあらためてみるともう少し詳細に表現できたほうがよいと感じました。この作品はモノクロフィルムをスキャンしてデータ化してプリントしていましたが、OBの菊池さんはモノクロフィルムをマクロレンズを使った複写方法でのデータ化のほうが高精細であることを話していました。
被写体は様々ですが撮影者独特の距離感が感じられる作品で前の作品と通ずるものがありました。何気ない風景やものを撮影していても個性が感じられるのは大切なことですね。
身内を撮影した一枚。なにげない一瞬をとらえた良い表情でした。OBの塩澤さんからピントが目にきていないのは残念であるし、それを発表するのは鑑賞者にとっても残念であると指摘がありました。そして写真は今しかない瞬間を撮っている真剣勝負だからその時を大切にしてほしいと話していました。
東北旅行の記録だそうですがHさんの作品の中では一番力が抜けていて自然であるにもかかわらず作品として成立しているものもちらほらありました。
とにかく目立ちたいというHくんの第一声からはじまりました。ヨーロッパで宿なしで一か月放浪してきたときに撮った写真だそうです。シャッターを切った瞬間から今は手から零れ落ちていくその連続を描いているそうです。写真と文章の並列展示でしたが写真だけのほうがいいのではという意見もあるくらい本人は執着がない写真が主張している印象でした。塩澤さんからは生きてて楽しい?という質問に戸惑いもありました。
夜のレインボーブリッジを歩いて渡った時の写真でそうです。きれいな夜景の橋の写真ではなく物体としての魅力を撮りたいと思いこの作品になったようです。モノクロで橋のいろいろな角度でアプローチした写真はひとつの作品として成立していました。塩澤さんからは縦横を意識した構図づくりがあったほうが橋が建造物として際立ってよかったかもしれないですねと指摘がありました。
庭園のなかのコスモスと高層ビルとの対比。就活中の心の現れなのか暗いイメージの仕上がりでした。
釣り人を撮影した一枚の写真から複写によりピントをずらして撮影して複数のフィルムを作り、プリントで明暗をさらに変えて作成した作品だそうです。テーマは「待つ」。物事の結果を待つ思考の時間を明るさやピントをづらして表現してるようです。タイトルの「希望と失望」は結果を待つ間のじれったさだそうです。白い写真は希望で黒い写真は失望のようです。菊池さんは写真からもの作りの姿勢を評価していましたが作品の数を減らしたほうがよいのではという指摘。塩澤さんからは難しすぎるのでもっとわかりやすく3枚くらいに絞ったほうがという意見がありました。
撮影者はふだんは違和感のある現実を作品化しているそうです。大阪出身の撮影者が東京の街は赤色が多いと感じて映像化した作品。3枚の写真の合成でした。菊池さんからは上の横長の写真一枚のほうがより伝わるのではないかという意見、みなさんも同意していました。塩澤さんからは写真を枠に入れないほうがより効果的に伝わることがあるということを森山大道さん写真集を例に話していました。
大阪の雑居ビルの夜の風景。どこかよどんだ迷宮に入り込んだイメージを表現しています。色もそれに合わせて調整したそうです。学生からゲームからヒントを得たのという質問にうなづいていました。
もう一点、ブックがありました。故郷の町の魅力を鉄道を交えてご自身が感じた気持ちの良い空間を撮影したのものでした。塩澤さんからは血の通ったヒューマンな写真でよいと評価していました。
写真を始めて間もないそうですが、使っていたカメラは身内から譲り受けたミノルタ製のクラシックカメラをみせてくれました。撮るだけでも苦労したと思いますがスマホのように簡単ではなくまたフィルムで撮りプリントすることに興味があるそうです。菊池さんと塩澤さんから何点かは本人がおもしろく思った視点がわかるものもあったのでとにかく今はたくさん撮ることでもっとよくなりますねという意見でした。
今回は幹事長のHくんのお力添えで3年ぶりに合評会が実現しました。親子以上に年の離れた我々が写真というものを通して会話できるのは不思議ですし楽しい時間でした。感謝します。増田