中藤毅彦君(平成6年一文中退)写真展「STREET RAMBLER -Paris」インタビュー

 昨年、東川賞特別作家賞を受賞し、写真界の最先端を疾走している尊敬すべき私の後輩、中藤毅彦君(平成6年[1994年]一文中退)の写真展を訪れました。その様子をインタビュー形式でお伝えします。

※中藤毅彦写真展「STREET RAMBLER -Paris」は、東京新宿の「コニカミノルタプラザ」で3月6日(水)まで開催中です。ぜひお立ち寄りください。
http://www.konicaminolta.jp/plaza/schedule/2014february/gallery_c_140225.html
中藤毅彦オフィシャルサイト
http://takehikonakafuji.com/
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◎インタビュアー:平成2年(1990年)政経卒/金城正道
・久々に中藤君のストリートスナップを目にしたように思います。話では「この頃おとなしかったので」ということでしたが?
中藤:このところ都市風景が中心でしたが、またストリートスナップに目が向いてきています。ストリートスナップは気合いが違います。自らを奮い立たせ、被写体にカメラを向け、とにかくシャッターを切る。切り続ける。それが全てです。
・様々な都市で道行く人々にカメラを向け続けていると、こわい思いをすることもあるのでは。
中藤:あまり感じたことはありません。時に睨まれることもありますが、シャッターを切った後で目で挨拶したりすることで、わかってもらえていることが多いと感じています。ただ、一日中歩き回っても全く撮れないこともあります。
・どのような時ですか?
中藤:やはり、被写体から手ひどく拒絶された時などです。とても落ち込みます。そのような事もあります。でも、それでも這い上がってシャッターを切り続けるしかない。それが宿命です。
・私は、最近の若い人たちの写真に「人が写っていない」ことに疑問を感じています。それらの写真は、中藤君の写真の対極にあるものです。
中藤:内省的で「自分探し」や「ボクを見て」という思いが強いのではないでしょうか。しかし、そうではない挑戦的な若い作家もたくさんいます。私は「相手」や「街」を『そのまま』写し取りたいと思っています。
・それにしては中藤君の写真は「中藤!」が出ているように思います。
中藤:(笑)あまり意識したことはないのですが。自然とそのような形が出来上がっているのではないでしょうか。
・そうですか。結果的に作品のスタイルが私の頭の中で作家の実像と結びついてきているのでしょうね。

・ところで、パリの撮影について聞かせてください。
中藤:3年にわたって撮影しています。パリの人々は写真に対してとても意識が高く、ブラッサイ、サルガドやパリフォトの写真展などに列を作って並んでいました。あまり有名でない私の写真展にも多くの人が飛び込みで立ち寄り、900ユーロ(12万6千円)近い価格のプリントも何枚も売れました。
・撮影で意識していたことは?
中藤:これまでパリは多くの写真家たちに撮られてきました。私もこれまでの自分の写真を見直し、また過去の偉大な作品群に改めて向き合い、ステレオタイプに陥らない、これまで撮られていない今のパリの姿を捉えようと思っていました。
・具体的には?
中藤:例えば、現在のパリにはアフリカからの多くの移民(黒人)がいます。パリでも特別の存在感を放っているバルベスやヴェルビルなど、彼ら移民の街に入り込んで撮影しています。観光などではわざわざ行かない場所です。今回の写真展の作品では、彼らの姿の一部を捉えることができたと思っています。


・これからは?
中藤:パリは引き続き撮り込んでいくつもりです。ただ、パリでは私は異邦人です。一方、私が生まれ、生活の拠点でもある「東京」への思いは強くあります。20年も撮り込んでいますが、「まだまだではないか」という思いもあり、ライフワークとして取り組み続けて行きたいと思っています。
・最後に、現役の早大写真部のみなさんに何かメッセージを。
中藤:学生の間は自由な時間や機会に恵まれていることと思います。それらを有効に使って、とにかく量を撮る! 早稲田の場合、卒業して写真以外の様々な道に進む人が多いと思います。でも、学生の時にそうやって本気を賭けて撮り込んだ経験は、そのあと写真の道を歩まなくても、色々なところで全然違うものになって必ず表れてくるはずだと思っています。
・私も20年、会社員をやってきましたが、本当にそのように思います。ありがとうございました。