早稲田祭展は一年の内で最も出展者数が多く、様々な作品を見ることができるので毎回楽しみにしています。
前回の写真展(七月展)から夏休みをはさんで4ヶ月ほどの製作時間がある、ということもあり力作が多く見られます。
今回の早稲田祭展は昨年に比べ、作品数や一つの作品あたりの枚数が多く、見応えがありました。
写真の内容に関して言えば、ポートレイトや街中でのスナップ、かっちりとした鉄道写真から日常写真まで様々でした。
また今回は壁の展示だけでなくブックが17点と増えていました。ブックは写真の集め方や選び方で撮影者の個性がより強く出てくるので、見ていてとても面白いです。
今までブックはファイルに印刷した写真を入れたものが主流だったのですが、今回はフォトブックが爆発的に増えていました。
フォトブックとはパソコンのソフトや専門のサイトで写真のレイアウトを自分で決め、ネットで入稿すると、製本されて送られてくるというものです(フォトバック、オンデマンドブックなど様々な言い方があるようですが、ここでは“フォトブック”に統一して書きます)。
実際に書店で売られている写真集に近い形になるので、見栄えがよくてしっかりと見えます。
また、自分で好きに簡単にレイアウトができるので(1ページと2ページを使って写真を大きく見開きにする、1ページに写真を並べて入れるなど)、全体としてメリハリがつけやすく、ファイルに入れるよりも表現の幅が広がったように感じました。
実際、写真展に出展されていたフォトブックには、大きさを変えるなどの工夫が見られました。
特に面白いなと思ったのが、Nさんの「睫毛」という作品でした。小さな子どもと母親の写真などの日常の写真の二枚上下と、奥の開けた風景の写真の見開きがうまくバランスがとれていたように感じました。
ドラマチックでかっこ良くきめた感じの写真ではないのですが、何気ない日常の瞬間をうまく捉えていてじっくり見たい写真ばかりでした。
しかし、もったいないと思ったのが大きさです。A5くらいのサイズだったので、片面1ページに2枚写真を入れると小さくて見づらかったです。Nさんのブックに限らず、他の人のブックでももう少し大きくした方がよかったと思う作品はいくつかありました。
例えば、Iくんのブックです。様々な国で現地の人を撮った作品で、周りに写る風景からその土地独特の雰囲気を静かに感じることができ、個人的に気に入った作品でした。しかし、やはり大きさが気になりました。
A4サイズのファイルに写真を入れた作品でしたが、縦長のA4の紙に横長の写真を印刷しているため、写真自体はハガキほどのサイズになっています。空白を作らず、A4サイズで大きく写真をプリントしたら、もっと迫力が出るのではないかな…と少し残念でした。
ブックに限らず、“写真の見せ方”は写真を展示する上でとても重要だと思います。写真の大きさ、余白の大きさ、色、紙の種類、額にするのか直貼りにするのか…一枚の同じ写真でも見せ方次第で印象が変わります。
撮影技術、作品の内容だけでなく、”作品の見せ方”にも気を配ってみたらもっと写真が楽しくなると思います。
偉そうなことを言いましたが、“写真の見せ方”は自分が展示作品を作る時に一番悩むことなので、大変刺激になりました。
また、若い部員たちの熱意に撮影意欲が湧いてきました。皆さん、お疲れ様でした。